MAYUKO INUI

交差点としてのヒロシマを再考する

9月28日(土)〜10月27日(日)に、加納美紀代資料室サゴリにて展示を行います。

タイトル|交差点としてのヒロシマを再考する
出展作家|Leire de Meer + Mayuko Inui、オヤマアツキ、菊田真奈、高雄きくえ、高川和也+山本浩貴、船木美佳、山下栞、李 和晋、小田原のどか
会  期|9月28日(土)〜10月27日(日)
開館時間|加納実紀代資料室サゴリの開館時間に準ずる【要事前予約】
W e b|https://odawaranodoka.com/sagori
会  場|加納実紀代資料室サゴリ ギャラリースペース
〒732-0051 広島県東区光が丘2−53
※要事前予約:予約方法はサゴリのウェブサイトをご覧ください
企画・選定・配置|小田原のどか
協  力|サゴリに集うひろしま有志の会、加納実紀代資料室サゴリ
お問い合わせ|konokunino @ gmail.com(担当:小田原のどか)

 2023年3月、広島市に「加納実紀代資料室サゴリ」が開室しました。サゴリの資料活用をいっそう促すため、主宰者の高雄きくえ、文化研究者の山本浩貴、彫刻家・評論家の小田原のどかによる「第1回サゴリリサーチアワード」が実施され、これを経てサゴリに小さなギャラリースペースがオープンしました。
 リサーチアワードの開催とギャラリーサゴリのオープン、その両方を記念して、リサーチアワードで審査員をつとめた小田原がリサーチアワードに関連する作家を中心に声掛けを行い、企画展「交差点としてのヒロシマを再考する」を開催いたします。
 展覧会タイトルの「交差点としてのヒロシマ」はサゴリ主宰者である高雄きくえが編集した書籍に由来します。「広島はひとつではない」「被害と加害の二重性を引き受ける」「〝唯一の被爆国〟というナショナリズム」など、ジェンダーと植民地主義の視点から広島を問い続けてきた加納実紀代、そして加納実紀代資料室サゴリを主宰する高雄の思想を、本展を通じてあらためて焦点化します。

作家略歴:

Leire de Meer (they/them)

Leire de Meer (they/them) is a Madrid based visual artist. Their work focuses on community building , queer embodiment and narrative fictioning. They use performance, bodily artistic experiences and video art to challenge our perception of ourselves and the cultures we are embedded in.
日本語訳:
マドリードを拠点に活動するビジュアル・アーティスト。 コミュニティー構築、クィアの身体性、物語のフィクション化に焦点を当てた作品を制作している。パフォーマンス、身体的な芸術体験、ビデオアートを用いて、私たちが組み込まれている文化に対する認識に挑戦している。

Mayuko Inui 乾真裕子

大阪府生まれ。東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。フェミニズムやクィア理論を手がかりに、自身の身体を用いたパフォーマンスや映像作品を制作している。近年は、民話や昔話におけるジェンダー表象、語り継がれながら変化していく歌や語り物に関心を持っている。

オヤマアツキ

1997年神奈川県生まれ。2022年多摩美術⼤学⼤学院 美術研究科博⼠前期課程彫刻専攻修了。現在は東京、神奈川を拠点に活動。人々の中に自明の事として存在し疑問視されることなく繰り返し用いられるような事柄に興味を持ち、アートという方法論でそれらに介入しようと試みている。主な展覧会に2024年「Saturday Night Once More」 (WALL_alternative/東京)、2024年「SICF25」(スパイラルホール/東京) 2023年「反転するネットワーク」 (MEDEL GALLERY/東京)など。

菊田真奈

広島県出身(b.1986)である菊田は、メディアを通して語られる「ヒロシマ」と、身近な被爆者の語る記憶の差異に関心を寄せ続けてきた。広島原爆死没者慰霊碑、東京の戦災樹木、パリに点在するモニュメント、捨てられた作者不明の写真などをモチーフに、フィールドワークと独自の調査を通して、ドキュメンタリーやコンセプチュアルな形式で、写真や映像の視覚媒体を用いた作品を制作。後世に残すために作られたモニュメントが意味する物語を、今生きている私たちはどう見つめ、考え直し、未来へと繋げていくのだろうか。時間的な距離、ギャップや空洞、不確実性を考察する。

高雄きくえ

広島で1985年、女友だち3人で小さな出版社を立ち上げ、ミニコミ紙「月刊家族」を19年間発行する。その後「ひろしま女性学研究所」と改称し、ジェンダー・フェミニズム・ヒロシマ・コロニアリズムなどの講座・シンポジウム・書籍出版などを手がける。現在、昨春から開室した「加納実紀代資料室サゴリ」をひとり運営。「広島同人誌あいだ」を2018年から年1発行。オイルパステル画は65歳のときから突然、描きはじめる。

高川和也

1986年熊本県生まれ。美術家、映像作家。東京藝術大学大学院修士課程修了。主な展覧会に「MOT アニュアル 2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」東京都現代美術館 (2022)、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート展:社会を動かすアートの新潮流」3331 Arts Chiyoda (2017)、「ASK THE SELF」Tokyo Art and Space (2016) など。

船木美佳

1966年福岡生まれ。主な展示に、2023年「消えないし、」(HIGURE17-15 CAS、東京、OJUNとの展示、企画:船木美佳)、「絶対定点観測へ」(菜香邸、山口、主催:山口現代芸術研究所(YICA))、2019年「砂の本」(Altern`art C&Y、東京)、「FKSK 驚異の小屋_マレーシア編」(MAIX House、Pekan Sauk、ペラ州、マレーシア)など。主なプロジェクトに、大谷芳久氏より寄贈を受けた戦時下資料233冊のデータベース化(2021年〜)、「戦時下資料 ラボ」研究会(計12回、2019年「オランアスリの村 報告展」 マレーシア(MAIX とFKSKによる共同プロジェクト)。

山下 栞

1997年大阪府生まれ、広島県在住。広島市立大学大学院博士前期課程修了(2023年)。自身の経験をもとに、美術と教育の問題を眼差しながら作品を制作する。また、ハラスメントのない学習環境整備のためにさまざまな場所で活動中。主な展覧会に「線引こうとする」(加納実紀代資料室「サゴリ」ギャラリー、広島、2024年)、「美術をもう一度好きになるための予行演習」(タメンタイギャラリー鶴見町ラボ、広島、2022年)、「二回ひねって一度たつ」(クマ財団ギャラリー、東京、2022年)など。

山本浩貴

1986年千葉県生まれ。文化研究者。実践女子大学准教授。2010年一橋大学社会学部卒業、2013年ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。2018年、ロンドン芸術大学博士課程修了。アジア・カルチャー・センター(光州)リサーチ・フェロー、香港理工大学ポストドクトラル・フェロー、東京芸術大学大学院助教、金沢美術工芸大学講師などを経て現職。単著に『現代美術史――欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社、2019年)、『ポスト人新世の芸術』(美術出版社、2022年)。

李和晋

写真家、映像作家、アーティスト。1991 年東京生まれ。4歳から7歳までを韓国ソウルで過ごす。現在、東京在住。韓国系新来外国人二世という移民としての出自を出発点に、ルーツを探る制作を行う。人と土地との関わりにおいて起こる現象をテーマに、朝鮮半島や東アジアに向き合いながら、歴史的なねじれに含まれる複雑さと豊かさを表現する。また、ルーツを探る過程をトランスナショナルに位置付ける方法を問うことで、大文字の歴史記述に対する私の記し方を探求していく。

小田原のどか

彫刻家、評論家。芸術学博士(筑波大学)。主な展覧会に「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? 国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(国立西洋美術館、2024年)「リメンブランス」(東京都写真美術館、2024年)など。主な単著に『近代を彫刻/超克する』(講談社、2021年)『モニュメント原論:思想的課題としての彫刻』(青土社、2023年)。共著に『この国(近代日本)の芸術:〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』(山本浩貴との共編、月曜社、2023年)。1985年宮城県仙台市生。